コミュニティが実際に崩壊していくプロセスは、外から見る以上に陰惨です。都内有名私立大学のアカペラサークルで幹事長を務めていた男性Aさん(取材当時21歳)は、当時を振り返り次のように証言します。
「新歓期に入ってきた1年生の女性は、決して派手ではなく、むしろ地味でおとなしいタイプでした。しかし入部からわずか3ヶ月で、サークルの中心だった編曲担当の副幹事長と、実質的な技術指導役だった最上級生の2人が激しく対立するようになったんです。裏で双方が彼女から『〇〇先輩が一番頼りになる』『別の先輩からしつこく言い寄られて困っている』と同時に相談を受けていたことが原因でした」
Aさんが異変に気づいた時には、すでにグループ内の人間関係は修復不能なまでに引き裂かれていました。男性陣の間で殴り合い寸前の口論が勃発し、幹部会は機能不全に陥ります。部員同士の会話は監視され、練習はお互いへの当てつけと罵倒の場と化しました。
「最終的に技術指導役の先輩が退部し、秋の定期演奏会は中止に追い込まれました。騒動の渦中にいた彼女はといえば、『私のせいでみんなが喧嘩してつらい、耐えられない』と言い残し、他大学のインカレサークルへとあっさり移籍していきました。残されたのは、信頼関係を完全に失い解散するしかなかった30人のサークルだけでした」(前出・Aさん)
知恵袋や5ちゃんねる、SNS上に溢れる被害報告を精査すると、類似した崩壊パターンが判明しています。「相談に乗る」「秘密を共有する」「特定メンバーを悪者にして別のメンバーに助けを求める」という三段論法が完遂された時、コミュニティの自浄作用は完全に麻痺してしまうのです。