小児神経の領域において、原始反射は中枢神経系の成熟度を評価するための重要な指標です。医師が診察する際、単に「出た・出ない」だけでなく、以下の兆候を厳格にスクリーニングしています。
最も注視されるのは「左右差」の有無です。片方の足だけが全く動かない、あるいは片側のステップだけが異常に強い場合、分娩時の腕神経叢損傷や骨折、あるいは中枢神経の片側性障害が疑われることがあります。
また、時期を大幅に過ぎても反射が消えない「原始反射の残存の影響」も重要な診断材料となります。生後半年を過ぎても自動歩行反射が消失せず、常に足先をピーンと突っ張ってクロスさせるような強固な反射が続く場合、自動歩行反射と脳性麻痺(痙直型など)の関連が検討される場合があります。上位中枢からの抑制がうまく機能していないサインとなり得るためです。
近年では、自動歩行反射と発達障害の関連について気にする保護者も増えています。原始反射の統合(消失)が遅れることが、将来的な感覚過敏や協調運動のぎこちなさ(発達性協調運動症など)に関与しているのではないかという研究報告は存在します。ただし、自動歩行反射が出ない、あるいは消失が数週間ずれたからといって、それ単体で自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなどの発達障害と直結するわけではありません。神経発達の評価は、追視や喃語、首座り、筋緊張など全体の推移を総合的に見て判断されます。