視覚的なアイコンとしてのピンク髪は、時代とともにその役割を大きく変容させてきた。2000年代初頭の萌えアニメ全盛期において、ピンク髪は「庇護欲をそそるヒロイン」や「天真爛漫なムードメーカー」の象徴として消費される傾向が強かった。
しかし、作品のジャンルが多様化するにつれ、ピンク髪の持つ意味合いは多層化していく。狂気を秘めたヤンデレキャラ、圧倒的な武力を誇る戦士、あるいは社会の不条理に立ち向かう主人公など、従来のステレオタイプを打破する設定が次々と誕生した。色彩心理学的な親しみやすさと異質さの双方を兼ね備えた桃色は、クリエイターにとってキャラクターの内面を多角的に表現するための格好のキャンバスとなったのだ。