90年代後半、『DNA』や『1/2』といった歴史的名曲を世に送り出し、J-POPシーンに鮮烈な印象を刻んだ川本真琴。彼女の音楽性は常に繊細で、日常の狂気と純愛を同居させる類まれなソングライティング能力に溢れていた。しかし、商業主義のメジャーシーンから距離を置き、インディペンデントな活動へとシフトしていた彼女にとって、ワイドショーの執拗なカメラテストはあまりにも攻撃的すぎたと言える。
騒動後、一時はメディア露出から遠ざかったものの、彼女の音楽的評価が揺らぐことはなかった。2020年代に入り、世界的なシティポップ・インディーズ再評価の波とともに、彼女の過去の楽曲や近年の作品が若い世代の間で再発見された。感情を隠さず剥き出しにする表現スタイルは、SNS時代の痛切なリアリティとして、時を超えて新たなリスナーの心を揺さぶっている。