都内のエスニック専門店の扉を開けると、ほのかに漂うハーブと炒めたタマネギ、そして魚介のだしの香りが鼻腔をくすぐる。長年、エスニックグルメといえばタイやベトナムが主役だった。しかし、食の多様化が進む中で、ツウな人々がこぞって探し求めているのが本格的なミャンマー料理だ。
その筆頭にあがる名物が、朝食の定番にして国民食とも言われる「モヒンガー」である。ナマズなどの淡水魚をじっくり煮込み、レモングラスやニンニク、ショウガで臭みを消した濃密なスープ。そこに米の細麺を絡め、サクサクとした豆のフリッターやゆで卵をトッピングして食べる。魚の旨味が凝縮された一杯は、和食のだし文化にも通じる深い味わいがあり、一度食べたら忘れられない魅力を放っている。
もうひとつの秘密兵器が、世界でも珍しい「お茶を食べる」習慣から生まれた発酵茶葉のサラダ「ラペットゥ」だ。蒸した茶葉を塩や油脂とともにじっくり発酵させた「ラペッ」に、揚げたピーナッツやひよこ豆、ニンニク、唐辛子を和えた一品である。酸味、苦味、旨味、そしてカリッとした食感が口の中で爆発し、お酒のおつまみとしても絶大な人気を誇る。発酵の深みとフレッシュな素材の調和こそが、この料理の隠された真骨頂といえるだろう。