デビュー初期、彼が直面した最大の壁は、皮肉にもその類まれなビジュアルだった。当時の日本のエンタメ業界では、「ハーフ」であるという事実だけで演じられる役柄が限定されるケースが少なくなかった。オーディションに落ち続け、自身のルーツと現実の壁との間で葛藤した日々は長い。
だが、彼はそのアイデンティティを弱点ではなく、唯一無二の強みへと磨き上げた。多様性が叫ばれる以前から、自身の中に二つの文化を宿す者として「表現の境界線」を壊し続けてきた歴史。その苦闘の経験こそが、現在のフラットで包摂的な演出スタイルの原点となっている。