声を発した際に自分の声が耳の奥で反響する現象は、医学的に自声強聴(じせいきょうちょう)と呼ばれます。同時に耳が詰まったような感覚(耳閉感)を伴うことが多く、その発症メカニズムは主に「耳管(鼻と耳をつなぐ管)の機能異常」と「内耳(音を感じ取る器官)のトラブル」の2系統に大別されます。
臨床現場において、自分の声がこもる原因として特に多く診断される代表的な4つの疾患を解説します。
1. 耳管開放症(じかんかいほうしょう)
通常は閉じていて唾液を飲み込むときなどにのみ開く「耳管」が、開きっぱなしになってしまう疾患です。鼻腔と中耳腔が常に直結した状態になるため、耳管開放症の症状としては自声強聴や耳閉感に加え、「自分の呼吸音がスーハーと耳に直接響く(自己呼吸音聴取)」という特徴的な訴えが多く見られます。急激な体重減少、過度なダイエット、脱水、疲労や自律神経の乱れが引き金となります。
2. 耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)
耳管開放症とは逆に、耳管が狭くなって開かなくなる疾患です。風邪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などによって耳管の粘膜が腫れることが主な原因です。中耳の内圧が陰圧になるため、鼓膜が内側に引っ張られ、唾を飲み込むと耳がこもる、あるいは飛行機の下降時のように耳が詰まって音がくぐもるといった症状が現れます。
3. 低音障害型感音難聴(急性低音障害型感音難聴)
内耳の蝸牛(かぎゅう)内部にリンパ液が過剰に溜まる「内リンパ水腫」によって、低い音域の聴力だけが突発的に低下する病気です。20代〜40代の女性に好発し、耳の閉塞感が片耳に現れるのが典型的です。「ボーンという低い耳鳴り」「水が入ったような膜が張った感覚」「自分の声が低く響く」といった違和感から始まり、本人が難聴と気づきにくい特徴があります。強い精神的ストレス、睡眠不足、過労が発症の大きな要因とされています。
4. 突発性難聴
ある日突然、前触れなく片側の耳の聞こえが悪くなる緊急性の高い内耳疾患です。突発性難聴の初期症状として、明らかな難聴だけでなく「朝起きたら片耳が塞がったようにこもっていた」「電話の声が急に聞き取りにくくなった」「高音のキーンという耳鳴りが始まった」という形で自覚されるケースが多発しています。内耳の血流障害やウイルス感染が疑われていますが、放置すると永久的な聴力低下につながるため、一刻を争う対応が求められます。