事故の記憶が刻まれた現場海域は、今どのような状況を迎えているのでしょうか。辺野古現在の状況を俯瞰すると、転覆トラブルが頻発した当時とは海上の風景が大きく変貌を遂げています。
辺野古崎側(キャンプ・シュワブ沿岸部)の埋め立てはおおむね完了し、焦点は大浦湾側の軟弱地盤改良工事(サンドコンパクションパイル工法等を用いた杭打ち作業)へと移行しました。国の代執行を経て工事は本格化しており、大型の作業船やケーソン(コンクリート製基礎)が多数配置されたことで、大浦湾内の工事水域はより強固な警戒船団と海上フェンスによって物理的に区画されています。
かつてのような小型カヌー隊と高速警備艇が至近距離で直接もみ合う事態は、双方の学習効果や警備プロトコルの見直し(接触前の広域規制ラインの設定)により激減しました。地元紙や大浦湾転覆ニュースの動向を見ても、現在の辺野古埋め立て工事に対する抗議の重心は、危険な海上の直接阻止行動から、ゲート前の座り込みや法廷闘争、世論への情報発信へとシフトしています。洋上における直接衝突の沈静化は、安全確保の面では一歩前進と言えますが、埋め立て工事そのものを巡る県と国の対立の溝が埋まったわけではありません。