『踊る大捜査線』の舞台である「警視庁湾岸警察署」は、ドラマ放映当時は実在しない架空の警察署でした。しかし、舞台となったお台場エリアの急速な開発と治安維持の必要性から、2008年に実際の「東京湾岸警察署」が新設されたことは、ドラマが現実を動かした象徴的なエピソードとして知られています。
ロケ地に関しては、初期の連続ドラマや映画第1作において、江東区潮見にあった「内田洋行ビル」の外観や、台場周辺の未開発地が巧みに利用されました。当時の臨海副都心はまだ空き地が多く、未来的でありながらどこか無機質な空気が漂っており、それが「発展途上の街にポツンと取り残された空き地署(湾岸署の俗称)」という世界観と完璧に合致していました。
また、青島が愛用していた「M-51モッズコート」や、室井の身に纏うダークスーツ、スリーアミーゴス(神田署長・秋山副署長・袴田刑事課長)のコミカルな掛け合いなど、美術・衣装・演出の細部に至るまで計算し尽くされた設定が、単なるドラマの枠を超えた強固なファンコミュニティを形成する原動力となったのです。