ハチワレ役の田中誠人は、劇団ひまわりで実力を磨いてきた実力派子役だ。キャスティング当時、まだ幼さの残る少年を抜擢したフジテレビジョンの判断は、本作に唯一無二の生々しいイノセンスをもたらした。プロの大人の女性声優が「少年の声」を演じる従来のアニメの手法とは一線を画し、本当の子供が喋るからこそ生まれる独特の間や息遣いが、ハチワレの健気さを何倍にも引き立てていたことは疑いようがない。
しかし、本物の少年を起用するということは、必ず「声変わり」というタイムリミットと隣り合わせであることを意味する。田中誠人の肉体的な成長は誰にも止められない。劇団ひまわりの先輩俳優たちも通ってきたこの自然現象を、作品側がどう受け止め、どう活かしていくのか。演じる側の成長とキャラクターの固定された容姿とのギャップは、今まさに制作陣が直面している最も繊細な課題の一つといえる。