古来の祈りが形を変え、スクリーンを通して人々の胸を打った名作がある。映画『一陽来復 Life Goes On』だ。東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島の3県を舞台に、絶望の淵から立ち上がる市井の人々の営みを丁寧にすくい取ったこの作品は、公開当時から映画業界の内外で異例のロングランを記録した。
単なる震災ドキュメンタリー映画の枠組みには収まらない。そこにあるのは、津波で愛する人を失いながらも伝統の酒造りを再開させた蔵元、伝統芸能の復活に命を燃やす若者たち、大地に再び種をまく農家たちの「生」そのものだ。カメラは悲壮感だけでなく、日常のユーモアや温かな食卓の風景を決して見逃さない。