寿美花代という名を聞いて、まず思い起こされるのは宝塚歌劇団での圧倒的な存在感だ。端正な顔立ちとすらりとした長身、そして客席の空気を一瞬で変えてしまう華やかさ。彼女は宝塚の黄金期を牽引するトップスターとして君臨した。
特に1960年初演のレビュー『華麗なる千拍子』は、日本の舞台芸術・演劇の歴史を塗り替える金字塔となった。芸術祭賞を受賞したこの作品で魅せたダイナミックなステップと気品ある歌声は、今なお宝塚ファンの語り草だ。劇場を埋め尽くした観客の熱狂は凄まじく、彼女の一挙手一投足に誰もが息を呑んだ。舞台人としての徹底したプロ意識と美学は、この時期に完全に確立されたと言っていい。