歌舞伎町を中心に広がる火鍋旋風の核心にあるのは、圧倒的な「本物志向」だ。数年前までの日本人向けに手加減されたマイルドな辛さは姿を消し、四川や重慶の現地そのままのレシピを提供する店舗が大盛況を博している。
鍋の命とも言える「牛脂(ニウジー)ベース」の重厚なスープには、中国四川省から直輸入された本場の花椒や朝天唐辛子が惜しげもなく投入される。グツグツと煮立ち、立ち上る湯気だけで目が染みるほどの刺激。しかし、ひと口スープをくぐらせた薄切り羊肉を口に運べば、猛烈な辛さの後に濃厚な旨味と爽快な香りが駆け抜ける。舌が痺れ、額から汗が吹き出しながらも、箸を止めることができない。この中毒性こそが、夜の新宿で人々を惹きつけてやまない最大の理由だ。