日本の台所において、グリルは独自のガラパゴス的進化を遂げてきた。その中心に君臨するのがリンナイ株式会社をはじめとする国内メーカーだ。かつては「魚を焼くためだけの掃除が面倒な引き出し」と見なされていたコンロ内蔵型グリルは、調理家電業界の技術革新によって万能オーブンへと変貌を遂げた。
高火力の遠赤外線セラミックバーナーと精緻な温度センサーの融合により、トーストから本格的なノンフライ調理、さらには燻製までこなす熱源へと昇華。蓋付きの専用波型プレートを導入することで、油跳ねを劇的に抑えつつ、直火ならではの香ばしさを両立させる構造が開発された。煙や臭いを焼き切るスモークオフ機能の登場は、集合住宅の調理環境を劇的に変えている。
西洋の巨大なバーベキューグリルとは対照的に、わずか数リットルの極小空間で超高熱をコントロールする日本のテクノロジー。それは限られた住空間で最高の食体験を追求し続ける、職人技とエンジニアリングの結晶といえる。