そもそも賽銭とは何なのか。全国の神社を包括する神社本庁の教本などを紐解くと、元来の賽銭は「散米(さんまい)」と呼ばれる米の奉納であったことが分かる。実りへの感謝を神に捧げる行為が、貨幣経済の発展とともに金銭へと形を変えた。つまり、賽銭は「願いを叶えてもらうための対価」ではなく、「生かされていることへの感謝の先払い」なのだ。
一方、仏教における賽銭は「お布施」の一種であり、自身の執着を手放す「喜捨(きしゃ)」の修行という意味合いを帯びる。神道では穢れを祓い清めるための供物、仏教では我欲を捨てる行為。双方が交錯しながら、日本の伝統文化として現在の参拝スタイルが定着した。