マッチングサービス産業の台頭は、出会いのあり方だけでなく、デートにおける会計の初期設定を劇的に変えた。Pairsやタップルといった主要プラットフォームのプロフィール項目には、「デート費用」の希望選択肢が標準装備されている。「男性が多めに支払う」「割り勘」「相手と相談して決める」などの選択肢から、あらかじめ互いのスタンスをすり合わせることが当たり前となった。
ゼクシィ結婚トレンド調査の推移を見ても、かつて主流だった「デート代は全額男性負担」という意識は、若い世代を中心に少数派へとシフトしている。初対面や数回目のデートで双方が納得の上で割り勘を選択するケースは激増した。
しかし、アプリ上の合意と現場での感情は必ずしも一致しない。Pairsなどのユーザー調査でも、「割り勘OK」と設定していながら、端数まで厳密に請求されたことで一気に冷めてしまったという女性の声や、「奢るのが当然」という態度を取られて辟易した男性の体験談が後を絶たない。選択肢ひとつで価値観を表明できるようになったからこそ、現場での振る舞いの機微がより厳しくジャッジされる時代になった。