文月と切っても切れないのが、7月を代表する行事である七夕だ。もともと中国から伝わった乞巧奠(きっこうでん)の風習は、織姫にあやかって裁縫や習字などの手習い事の上達を祈るものだった。棚機女(たなばたつめ)の水辺の禊(みそぎ)と融合したこの神事は、やがて短冊に願い事や和歌を書き散らす独自の文化へと昇華していく。
江戸時代に入ると、寺子屋の普及とともに庶民の間で書道の上達を祈る「文広げ」が爆発的に広まった。現代でも神社本庁が管轄する全国の神社で執り行われる七夕祭には、言葉や文字に対する日本人の深い敬意が引き継がれている。