ダイエーの再生を語るうえで、象徴的な試金石となった事例がある。かつて芸能人や富裕層が通い詰め、同社の最高峰旗艦店として名を馳せた「ダイエー碑文谷店」の全面刷新だ。この名門店舗が営業を終了し、「イオンスタイル碑文谷」へと生まれ変わったプロセスは、旧態依然とした総合スーパーがどのように現代の生活空間へ適応すべきかを示す決定的なモデルケースとなった。
現在、ダイエーが主力を注いでいるのが「イオンフードスタイル」への屋号変更と新業態の開発である。単に食材を陳列して売るだけの場所ではない。店内で調理された本格的な惣菜、こだわりのベーカリー、その場で飲食できる充実したイートインスペース、さらにはオーガニック食品や簡便調理キットの拡充など、現代の共働き世帯や単身者の食生活に特化した空間設計が徹底されている。
かつての「何でも売っていたダイエー」は姿を消し、日常の「食」に特化した高密度な店舗へと生まれ変わる。店舗数の減少は、質的転換を果たすための助走期間に他ならない。