彼の音楽的バックボーンを語る上で欠かせないのが、バンド「THE 虎舞竜」の存在だ。前身バンド「トラブル」時代の下積みは過酷を極めた。鳴かず飛ばずの年月、ライブハウスの床で眠り、借金を重ねながらも機材車を走らせた日々。レコード会社に持ち込んでも「こんな長い曲、売れるわけがない」と突き返されたのが、あの『ロード』だった。
最終的に徳間ジャパンコミュニケーションズからのリリースを取り付け、大逆転劇を演じることになる。しかし、彼らの挑戦は一発のヒットで終わらなかった。『ロード』はその後、壮大な連作として書き継がれ、実に『ロード〜第十五章』まで制作されるという前代未聞のプロジェクトへと発展した。
物語の続きを紡ぎ、主人公たちのその後の人生を描き切る。周囲の冷笑や商業的な損得勘定をよそに、ひとつの世界観を徹底的に掘り下げたこの試みは、バンドの強烈なアイデンティティとなった。決して器用なプロデュース戦略ではない。だが、その執念こそがロックの真髄だった。