手に入れた莫大な賞金や副賞は、優勝力士個人だけの私有物にとどまらない。相撲界には古くから「分け合いの美徳」が根付いている。
山のように届く牛肉や米、野菜や果物は、即座に所属部屋の厨房へと運ばれ、毎日のちゃんこ鍋の具材となって部屋の若い衆たちの身体を大きく育てる。自身を日々付け人として世話し、稽古相手を務めてくれた弟弟子たちへのお小遣いや祝儀、後援会関係者への返礼など、優勝の美酒は部屋全体で分かち合われるのが通例だ。
頂点に君臨する者が下を養い、コミュニティ全体が強固に結束する。過酷な肉体労働と精神的重圧に耐え抜いた横綱・大関たちが見せるこの気風こそが、何百年もの長きにわたって相撲部屋という疑似家族制度を維持させてきた活力源なのだ。