子門真人(本名・福島邦夫)は、かつて日本のアニメ・特撮シーンにおいて欠かせない唯一無二の歌手だった。1970年代から80年代にかけて、溢れ出るソウルと力強いシャウトで数々の名曲に命を吹き込んできた。彼の熱い歌声は、当時の子どもたちの心に強烈な原体験として刻み込まれている。
ところが、1990年代半ば、彼は突然ステージを降りた。メディアからの取材を断ち切り、事実上の引退状態へ入ったのだ。引退の背景には、音楽業界における権利契約への失望があったと囁かれている。自らが歌った楽曲が社会現象を起こそうとも、専属歌手として固定の報酬しか受け取れない構造。アーティストとしての正当な評価が返ってこない現状に、深い葛藤を抱えていたという。