『Without Me』の代名詞とも言えるのが、実名を挙げた容赦のないディス(批判)です。なかでも最も話題を呼んだのが、世界的エレクトロニック・ミュージシャンであるモービー(Moby)への口撃でした。
発端は、2001年のグラミー賞授賞式においてモービーがメディアに対し、「エミネムの音楽は女性蔑視や同性愛者嫌悪に満ちており、評価されるべきではない」と公に批判したことでした。これに激怒したエミネムは、リリック内で「Moby? You can get stomped by Obie / You 36-year-old bald-headed fag, blow me!」と猛反発。さらに「誰もテクノなんか聴いちゃいない」と吐き捨て、当時のダンスミュージックブームごとモービーを嘲笑しました。
その他にも、当時ライバル関係にあったボーカルグループやポップシンガー、政界の要人など、エミネムの標的は多岐にわたりました。彼のディスが単なる私怨で終わらず大衆を熱狂させたのは、常に「体制側・気取ったインテリ層 vs 叩き上げの反逆児」という明確なカウンターの構図を保っていたからです。