「扇風機おばさん」と呼ばれる前の彼女は、周囲が息を呑むほどの美貌の持ち主でした。若かりし頃のハン・ヘギョンさんは、歌手として成功することを夢見てステージに立っていました。1980年代後半には日本へ出稼ぎに訪れ、クラブ歌手などとして活動していた時期もあります。
しかし、熾烈な競争と「もっと美しくならなければ成功できない」という強い強迫観念が、彼女の歯車を狂わせていきました。最初はエラを細く見せるための小規模なプチ整形でしたが、次第に満足できなくなり、無資格者による安価な闇医療に手を染めるようになります。
当時の手記やドキュメンタリー番組での独白によると、彼女の精神状態は次第に幻聴を伴う重度の精神的疾患へと進行していきました。頭の中で「もっと入れろ」という声が響くようになり、シリンジ(注射器)を用いて工業用シリコンや大豆油、機械油を自らの顔面に直接注入するという常軌を逸した行動に出てしまったのです。その結果、顔は通常の3倍近くにまで膨れ上がり、細い体に対して首から上が異常に肥大した姿から「扇風機おばさん」と呼ばれる悲劇的な容貌へと変貌を遂げました。