重大な事件や失踪事案が発生した際、インターネット上では急速に「考察班」を自称するユーザーたちによる推論が展開されます。しかし、そこには重大な構造的欠陥が存在します。
失踪した小学生の家族は、我が子を突然失った極限の悲痛の中に置かれています。当時の特番インタビューや公開捜索の場で家族が見せた痛切な表情、悲痛な叫びに対しても、匿名掲示板では「表情が不自然だ」「涙が出ていない」といった心ない観察と恣意的な解釈が投げつけられました。
こうした現象は、心理学において「公正世界仮説(世界は安全であり、悪いことが起きるのには被害者側に何らかの原因があるはずだと思い込む心理)」として説明されます。「何の罪もない子どもが突如として理不尽に消え去る」という不条理な恐怖を受け入れられない人々が無意識のうちに「家庭環境に問題があったのではないか」という理由を捏造し、自分自身を安心させようとする防衛機制が働くのです。