英国をはじめ世界中で受け継がれてきた伝統的な抽出理論、それが紅茶のゴールデンルールです。この法則は単なる形式美ではなく、茶葉に含まれるカテキン(渋み成分)、カフェイン(苦み成分)、テアニン(旨み成分)、そして揮発性のアロマ化合物を最適な比率で溶出させるための極めて合理的なメカニズムに基づいています。
紅茶の美味しい入れ方において、最も重要視されるのがお湯の適正温度です。紅茶の香気成分やポリフェノールは、95℃〜100℃の完全な沸騰水でなければ十分に抽出されません。ぬるいお湯では香りが立たず、逆に渋みだけが中途半端に残る原因となります。
そして、抽出の成否を決定づける物理現象がジャンピング現象です。沸騰したての熱湯には微細な気泡(酸素)が豊富に含まれており、この気泡がポット内の茶葉に付着して浮上させます。やがて水分を含んだ茶葉は自重で沈み、再び気泡を得て浮き上がるという上下運動を繰り返します。この対流運動によって、茶葉同士が擦れ合うことなく、均一に葉が開き、濁りのない澄んだ香味成分が引き出されます。