インターネット上や一部の歴史修正論的な言説において、「張作霖を爆殺したのは関東軍ではなく、ソビエト連邦(GRU・特務機関)の謀略だった」とするソ連黒幕説が語られることがあります。この説は、1990年代以降にロシア側で出版された一部の書籍や作家の著作を根拠に主張されるケースが見受けられます。
しかし、日中両国の膨大な公文書、陸軍内部の極秘文書、さらには事件実行に関わった関係者(河本大作、爆破工作を指揮した東宮鉄男大尉、桐原貞三技師ら)の一致した証言・手記と照らし合わせた場合、実行主体が関東軍であったことは学術的に動かしがたい事実として確定しています。
ソ連が当時、満州の利権を巡って張作霖と激しく対立していたことは事実ですが、現場に火薬を搬入した記録や工兵部隊の動員経路、事後の軍法会議回避工作に至るまで詳細な物証が残されています。客観的な歴史検証の場において、ソ連黒幕説は主たる歴史的事実を覆す根拠を持ち得ないと結論づけられています。