本作のクオリティを決定づけたのは、妥協のない制作体制とキャスト陣の圧倒的な演技力だ。主役のアンパンマンを演じる戸田恵子は、過酷な極寒の世界に立ち向かうヒーローの力強さと、傷ついた者に差し伸べる優しさを見事に表現してみせた。
アニメーション制作を手掛けたトムス・エンタテインメントの卓越した作画技術と、日本テレビ放送網による緻密な放送・配給戦略が見事に結実した瞬間だった。セル画時代ならではの透明感あふれる氷の質感表現や、重厚な劇伴音楽は、現代のデジタル技術では表現しきれない独特の「温度感」を作品に与えている。