勝負の世界において、30代半ばでの幕内復帰は極めて異例と言える。関取の座を失い、幕下下位まで番付を落とした時期、周囲からは引退の可能性も囁かれていた。だが、彼は黙々と稽古場に立ち続け、己の相撲を磨き直した。
2021年の初場所、幕内に返り咲いた際の連勝劇は、多くのファンの胸を打った。怪我の苦しみや番付が上がらない焦りを身をもって知るからこそ、今、伸び悩んでいる若い弟子の痛みが誰よりも理解できる。「何度転んでも立ち上がればいい」という生き証人としての言葉は、部屋の力士たちにとって何よりの道しるべだ。