ふたりの出会いは1950年代後半、映画『サザエさん』シリーズでの共演などに遡る。当時、すでにジャズ歌手として「テネシー・ワルツ」を大ヒットさせ、国民的スターだった江利チエミ。一方の高倉健は、東映の新人として頭角を現し始めたばかりの若手俳優だった。
1959年2月16日、高倉健の28回目の誕生日に挙行された結婚式は、戦後日本を象徴する一大イベントとなった。メディアは「世紀のカップル」と書き立て、街には祝福の声が溢れた。江利チエミの底抜けの明るさと、高倉健の不器用ながらも誠実な人柄。ふたりの家庭生活は、誰もが羨む幸福そのものに見えた。