1980年代、TBS系列で放送された『ふぞろいの林檎たち』は、学歴コンプレックスに苛まれる若者たちの等身大の葛藤を描き出し、爆発的な社会現象を巻き起こした。四流大学に通う男子学生たちと、看護学生の女子たちが織りなす不器用な恋愛模様。そこには、当時のテレビドラマが好んで描いた華やかなシンデレラストーリーは一切存在しなかった。
執筆当時、企画の裏側で意識されていたのは「かっこ悪い現実を、嘘をつかずに描く」という徹底したリアリズムだった。過飾を削ぎ落とした日常会話、言い淀みや恥部まで曝け出す人間模様。サザンオールスターズの楽曲が切なく響く中で流れる苦い青春のひとコマは、完璧になれない若者たちへの温かなまなざしに満ちている。この不朽の名作の誕生には、妥協を許さないセリフの精査と、キャストの生々しい熱量を引き出す細やかな演出の裏話が隠されていた。