JTの飲料事業撤退劇は、現代のビジネス社会における「選択と集中(ポートフォリオマネジメント)」の極めて合理的な教科書的ケーススタディといえます。
多くの日本企業は、過去の成功体験やブランドへの愛着から、赤字・低収益に喘ぐノンコア事業を「いつか好転するかもしれない」とずるずる延命させ、企業全体の活力を削いでしまう傾向があります。しかし、JTは国内シェア3%の限界を冷静に見極め、自販機オペレーターという「他社が喉から手が出るほど欲しいアセット」が高く評価される絶好のタイミングで、約1,800億円という巨額のキャッシュに変えてみせました。
消費者視点では、思い出深いドリンクが姿を消した寂しさは拭えません。しかし、市場環境の激変と戦う企業戦略という冷徹な視座に立つならば、この決断こそが後のJTの強固なグローバル財務基盤を支える英断であったことは疑いようのない事実です。