二代目中村錦之助は、1964年11月に中村信二郎を名乗って初舞台を踏みました。長年にわたり信二郎として端整な立ち役を中心に確固たる地歩を築いていましたが、大きな転機が訪れたのは2006年のことです。
かつて昭和歌舞伎から東映時代劇のトップスターとして一世を風靡した初代萬屋錦之介が1997年に他界してから約9年。一族の名跡である「中村錦之助」を復活・継承させるため、2006年冬に歌舞伎座において二代目中村錦之助を襲名しました。
四代目時蔵の早逝後、父の記憶がわずかしかない中で芸を磨き続けた錦之助にとって、叔父の大名跡を背負うことは極めて重い決断でした。しかし、この襲名を機に演技の幅はさらに広がり、時代物から世話物、重厚な敵役から情味あふれる実事まで、歌舞伎興行に不可欠な実力派幹部俳優としての地位を確立しました。