選挙分析の現場において、白紙投票が増加することは「組織票を持つ候補者や現職・与党にとって極めて都合が良い現象」として知られています。その背景にあるのが、いわゆる「基礎票の比率上昇」という数理的メカニズムです。
政党や業界団体、宗教団体などの強固な支持基盤を持つ候補者は、選挙のたびに確実に一定数の票(組織票)を固めます。これに対し、特定の支持政党を持たない無党派層が「良い候補者がいないから」と白紙投票や棄権に回ってしまうと、有効投票の総数が小さくなります。
有効投票数が減れば減るほど、組織票が全体に占めるパーセンテージは相対的に跳ね上がります。結果として、無党派層の支持が薄い候補者であっても、組織票だけで容易に当選ラインを突破できるようになります。つまり、政治への不満を理由に投じた白票が、皮肉にも「最も変化を望まない勢力の議席を守る防波堤」として機能してしまうのです。