古民家での暮らしには、新建材の住宅では決して味わえない情緒と空間体験がある一方で、現代の生活水準と照らし合わせた際の明確な課題も存在します。
主なメリットとして挙げられるのが、経年変化を遂げた木材や漆喰が放つ唯一無二の意匠美と、天井が高く開放的な間取りです。風通しを最優先に設計されているため、日本の高温多湿な夏でも比較的涼しく過ごせます。また、釘を使わない伝統木構造は、適切に手入れを続ければ数百年単位で維持できる耐久性を秘めています。
一方で、実際の移住者から寄せられる後悔や課題の多くは「温熱環境」と「維持管理の手間」に集中しています。隙間風が多く断熱材が入っていないため、「冬場の底冷えが耐えがたいレベルだった」「光熱費が都市部のマンションの数倍に跳ね上がった」という声は珍しくありません。さらに、敷地が広大であるゆえの草刈りや庭木の手入れ、集落内の清掃・行事への参加など、地域コミュニティとの関わり方にギャップを感じて疲弊してしまう事例も見受けられます。