シロキ工業が市場から姿を消した発端は、2016年4月に行われたアイシン精機(現・アイシン)との株式交換に遡ります。同社は2014年以降、アイシングループと資本業務提携を結び協業関係を深めていましたが、最終的にアイシンが100%の株式を取得し、東証1部および名証1部の上場を廃止しました。
一般に「上場廃止」と耳にすると経営悪化や経営破綻を連想する読者も少なくありませんが、この再編は明確にグローバル競争を生き抜くための戦略的統合でした。当時の自動車業界は、次世代車開発に伴う莫大な研究開発費の高騰と、世界規模でのプラットフォーム共通化が加速していた時期です。アイシン精機とシロキ工業の関係は、重複するシート骨格部品やドアフレーム事業を一本化し、トヨタグループ全体でのモジュール開発を円滑に進める狙いがありました。
シロキ工業の強みであった冷間ロール成形技術や精密プレス加工をアイシンの電動化技術・電子制御と融合させることで、単なる部品下請けから「システムサプライヤー」への脱皮を図ったのが、上場廃止の真の理由です。