ここまでの理論をふまえ、最短時間で指板のドレミを身体に定着させるための実践的トレーニング法を紹介します。ただスケールを上下するだけの反復練習を脱し、脳への刺激を変えながら定着を図るステップです。
ステップ1:人差し指を起点にする「1フレット1フィンガー」の徹底
運指の基本ルールとして絶対に崩してはならないのが、「指の守備範囲を決める」ことです。ローポジションで練習する場合、以下の通りにフレットと指を固定します。
- 1フレット担当:人差し指
- 2フレット担当:中指
- 3フレット担当:薬指
- 4フレット担当:小指
このルールを守らずに、押しやすい人差し指や中指だけでフレットを行ったり来たりする「1本指打法」を続けてしまうと、将来的にテンポの速いフレーズやコード移行に一切対応できなくなります。指が届きにくい小指や薬指もしっかりフォームに組み込むことが、後々の成長を左右します。
ステップ2:馴染み深い「童謡・シンプル曲」を単音で弾く
「ドレミファソラシド」の並びだけで練習を終えるのではなく、頭の中でメロディが完全に鳴っているシンプルな童謡を指板上で再現してみましょう。最もおすすめなのは「きらきら星」や「歓喜の歌(ベートーヴェン第9)」です。
例えば「きらきら星」の冒頭は、以下の通りに指を動かすだけで演奏できます。
歌詞:き ら き ら ひ か る 階名:ド ド ソ ソ ラ ラ ソ ポジション: ・ド:5弦3フレット(薬指)×2回 ・ソ:3弦開放(0フレット)×2回 ・ラ:3弦2フレット(中指)×2回 ・ソ:3弦開放(0フレット)×1回
自分がよく知っているメロディを指先で紡ぎ出せた瞬間、指板の点と点が音楽として結びつき、脳の報酬系が刺激されて練習のモチベーションが一気に跳ね上がります。
【プロの結論】単音練習を優先すべき人・コードから入るべき人の判断基準
ギターを始めるにあたり、「まずドレミ(単音)から覚えるべきか」「それともCやGなどのコード(和音)から覚えるべきか」という論争は長年続いています。指導現場の知見から導き出される客観的な判断基準は以下の通りです。
どちらのアプローチが絶対的に優れているというわけではありません。しかし、もしあなたが現在コードフォームの難しさに指が動かず行き詰まっているのなら、一度立ち止まって「単音のドレミ」に立ち返ってみてください。1本ずつの弦を確実に押さえ、澄んだ音を鳴らす感覚を取り戻すことが、結果としてコード演奏の安定性をも劇的に向上させる特効薬となります。