アフロヘアーのような天然パーマに、くたびれたスーツ。お世辞にも政治家然としていない朝倉啓太という男が、なぜ一国のトップに立つことになったのか。その発端は、大物政治家のスキャンダルを覆い隠すための「客寄せパンダ」としての擁立だった。黒幕たちの思惑は、若くて素直な総理を操り人形に仕立て上げること。しかし、彼らは致命的な計算違いをしていた。
啓太は、永田町の常識に染まることを真っ向から拒絶した。官僚が作った難解な答弁書を投げ捨て、小学生にもわかる平易な言葉で国民に語りかける。夜を徹して政策資料を読み込み、予算案の1行1行に込められた国民の血税の重みに涙を流す。そんな彼の愚直なまでの誠実さが、冷笑主義に覆われていた官僚や古参議員たちの頑なな心を、少しずつ、だが確実に溶かしていった。