ネット上の言説の中には、「生徒が不法滞在をしようとしたから自衛のために拘束したのではないか」「留学生側に問題があったのではないか」という根拠のない臆測も一部で見られました。しかし、公的調査によって判明した事実はこれらを真っ向から否定しています。
第一の誤解は、「生徒の不法就労や失踪を防ぐための正当防衛だった」という論理です。現行法規において、いかなる理由があろうとも民間教育機関の職員に個人の身体を物理的に拘束する法的権限はありません。失踪の兆候がある場合は、入管当局へ適正に報告・相談することが法律上の義務であり、鎖で縛り上げる行為は明白な違法行為です。
第二の盲点は、「問題を起こしたのは一部の非常勤講師の単独犯」という矮小化です。実際には教務主任クラスの幹部職員が関与しており、他の職員もその異様な光景を目撃しながら即座に制止できなかった組織風土が存在していました。学校法人ではなく一般企業が母体となって運営される日本語学校において、利益優先とコンプライアンス意識の欠如が重なった結果、自浄作用が完全に麻痺していたと言えます。