初夢で見ると一年を通して極めて大きな幸運に恵まれるとされる「一富士二鷹三茄子」。ことわざ辞典や民俗資料によると、この言葉は江戸時代前期から庶民の間で定着したとされています。では、なぜこの3つのモチーフが選ばれたのでしょうか。そこには日本特有の言霊(ことだま)信仰と、象徴性の掛け合わせが存在します。
まず1番目の「富士山」は、日本一の標高を誇る霊峰としての美しさはもちろんのこと、「富士=無事」という健康長寿・家内安全の祈りが込められています。また「不死(ふし)」の音にも通じ、古くから不老不死や不滅の象徴として敬われてきました。
2番目の「鷹」は、天空を自在に舞い獲物を確実に捕らえる獰猛かつ優美な鳥です。その姿から「高い=高貴・立身出世」を意味し、事業の成功や運気の上昇、チャンスを掴み取る強運を表しています。
そして3番目の「茄子(なすび)」は、日々の食卓に並ぶ身近な夏野菜ですが、実を結びやすい植物であることから「事を成す(なす)」という大願成就の語呂合わせを持っています。当時から実り豊かで縁起が良い作物として珍重されていました。