SNSや知恵袋、害虫駆除の現場報告において、毎年梅雨時に最も多く寄せられる相談が「庭のコンクリート壁がヤスデで埋め尽くされている」「寝ていたら布団の中にムカデが入ってきた」という切実な声です。
現場のペストコントロール技術者へのヒアリングによると、多足類のトラブルには明らかな地域特性と住居環境の偏りが見られます。ヤスデの大量発生現場を調査すると、築年数に関わらず「日当たりが悪く湿気がこもりやすい庭」「放置された落ち葉や腐葉土」「ウッドデッキの床下」という共通の温床が存在します。ヤスデは乾燥に極端に弱いため普段は土中で生活していますが、梅雨の大雨で土中が水浸しになると、溺死を避けるために一斉に地上へ脱出し、ブロック塀や外壁をよじ登ります。この「集団脱出行動」が住宅の隙間からの大量侵入を招く直接の引き金となっています。
一方でムカデの侵入被害は、より直接的な肉体ダメージをもたらします。大手医療機関の救急外来データによると、ムカデ咬傷の発生場所の約7割が室内(特に寝室や脱衣所)で発生しています。ネット上では「ムカデはつがいで行動するから1匹いたらもう1匹いる」という俗説が根強く信じられていますが、生態学的にはこれは誤りです。ムカデは繁殖期の一時的な接触を除いて単独行動をとる生物です。しかし、「1匹が快適に侵入できた隙間や環境は、別のムカデにとっても好条件である」ため、時間差で複数匹が同じ経路から侵入してくるケースは頻繁に起こります。