首都圏を中心に展開する羊肉専門店や、北海道のジンギスカン文化の現場では、消費者の意識に明白な地殻変動が起きています。SNS上の投稿や実店舗での利用実態を分析すると、世代間や食の習熟度によって評価が二極化している実態が浮かび上がります。
都内の有名羊肉バルに週1回以上通う30代男性は、メディアの取材に対して次のように生の体験を語っています。
「以前はジンギスカンといえばラム一択でした。クセがなくて柔らかいのが正義だと思っていたんです。しかし、名店でチルドマトンの肩ロースを塩とクミンだけで食べた瞬間、価値観が180度覆りました。ラムが『ミルキーで優しい味わい』なら、マトンは『肉本来の野性味と重厚な赤身の力強さ』そのもの。咀嚼した瞬間に吹き出す濃い肉汁は、大人のステーキ肉として牛フィレを完全に凌駕しています」
一方で、ネット掲示板や知恵袋などのリアルな口コミを分析すると、初心者が陥る典型的な失敗例も散見されます。「健康に良いと聞いてネットで冷凍マトンを買い、ラムと同じ感覚で薄味のしゃぶしゃぶにしたら、家族から匂いが強いと大不評だった」「脂身を取り除かずに強火で炒めたら、部屋中に匂いが残ってしまった」といった悲痛な声です。
飲食店の厨房現場で腕を振るうプロのシェフは、「ラムは素材の持つ瑞々しさをそのまま生かす料理に適しているが、マトンは料理人の下処理と加熱設計の腕前がダイレクトに試される玄人向けの食材。羊の匂いを『臭み』と感じるか『芳醇なアロマ』と捉えられるかは、脂の処理温度とスパイスの調和で完全に決まる」と証言しています。