血管の健康状態を左右する最大のカギは、血管の内側を覆う厚さわずか0.001ミリメートルほどの「血管内皮細胞」にあります。この極小の細胞組織は、単なる血液の通り道の壁ではなく、血管を拡張させてしなやかさを保つ生理活性物質一酸化窒素(NO:Nitric Oxide)を常時産生する精密な化学工場として機能しています。
加齢や悪玉(LDL)コレステロールの酸化、高血糖による終末糖化産物(AGEs)の蓄積、そして慢性的な高血圧による物理的ストレスが加わると、内皮細胞は傷つき、NOの産生能力が激減します。その結果、血管壁は弾力を失って硬く縮こまり、いわゆる動脈硬化の初期段階へと突き進むことになります。
血管年齢が劇的に変わると評される食材群には、共通した生化学的特徴が存在します。それは「傷ついた内皮細胞の酸化を強力に食い止める抗酸化物質」と「内皮細胞を直接刺激してNOの分泌を促す基底アミノ酸や脂肪酸」が豊富に含まれている点です。つまり、食事を通じて血管内皮の自己修復スイッチを再起動させることこそが、血管をしなやかにする食べ物を摂取する決定的な意義といえます。