毎年5月の連休前、保育園から各家庭へこどもの日製作持ち帰り作品が一斉に渡されます。この持ち帰り作品を巡っては、保護者と保育者の間で時に温度差や思わぬドラマが生まれています。大手保護者コミュニティや保育士クローズドSNSに投稿された数十件の手記・コメントを検証すると、リアルな実情が浮き彫りになります。
「1歳の息子の連絡帳に『今日はこいのぼりを作りました!』と書いてあり、楽しみに持ち帰り袋を開けたら、プロが作ったような寸分の狂いもない綺麗な作品が入っていました。正直、息子の小さな手でどこを触ったのか分からず、少し寂しさを感じました」(1歳児の母・会社員)
「足形スタンプのこいのぼりを見た瞬間、去年より足が一回り大きくなっていることに気づき、玄関で思わず涙が出ました。シールがぐちゃぐちゃに一箇所に固まって重なっているのも、まさに今の息子の姿そのもの。完璧じゃないからこそ宝物です」(1歳児の父・公務員)
保育現場では長年、行事製作における「見栄えの良さ」が保育士の技量と誤認される風潮が存在していました。行事の指導案を作成する際、主任や園長から「保護者が見て恥ずかしくないクオリティに仕上げるように」と無言の圧力を受け、最終的に保育士が夜遅くまで残業してウロコを等間隔に貼り直す――そうした本末転倒な実態がかつては横行していました。
しかし現在、保育園こいのぼり製作指導案の現場指導基準は大きく塗り替えられています。シールが重なって団子状になっていようと、スタンプがかすれて枠をはみ出していようと、それを「この月齢特有の尊い軌跡」として保護者に伝えるキャプション(保育ドキュメンテーション)を添える園が急増しています。保護者が真に求めているのは、工芸品のような完成度ではなく、「我が子がその瞬間に確かにそこに存在し、熱中した生きた証」なのです。