「コードを繋ぎ合わせても、流れる電気が許容範囲なら問題ないはずだ」と考える利用者は少なくありません。しかし、各電器メーカーの取扱説明書や消防本部の指導資料には、判を押したように「延長コードや電源タップの連結禁止」が明記されています。その理由は、単純な電流量の足し算だけでは説明できない、物理的な結合部分の脆弱性にあります。
コンセントプラグと差込口の接続面は、金属同士が微小な圧力で接触しているに過ぎません。新品の壁面コンセントであれば十分な挟み込み強度が保たれていますが、抜き差しを繰り返した延長コードの差込口は内部のスプリングが劣化し、緩みが生じやすくなっています。この緩んだ接続部に電流が流れると局所的な「接触抵抗」が跳ね上がり、家電製品の消費電力が許容範囲内であっても、プラグ周辺が触れないほど高温になる現象が発生します。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の事故事例報告でも、電源タップの連結部分が過熱し、周囲の樹脂が溶融してショートに至ったケースが多数報告されています。外見上は断線していなくても、内部で火種が着々と育ってしまう点に、電源タップ連結火災の陰湿な怖さがあります。