夏野菜栽培において多くの愛好家を悩ませるのが、果実の先端が黒褐色に変色して壊死する「尻腐れ病」です。この生理障害の主因は、急激な植物の生長に対してカルシウムの体内移行が追いつかなくなることにあります。土壌にいくら石灰が含まれていても、水に溶けていなければ根から吸い上げることができません。この問題を劇的に解決するのが、トマト尻腐れ病カルシウム補給の切り札となる「酢酸カルシウム液肥」の自作です。
炭酸カルシウムである卵殻に食酢(主成分:酢酸)を加えると、激しい発泡を伴う中和反応が起こります。
化学反応式:CaCO3(卵殻) + 2CH3COOH(酢酸) → (CH3COO)2Ca(酢酸カルシウム) + H2O + CO2↑
この反応によって生成される「酢酸カルシウム」こそが、植物が細胞壁を強化するために即座に利用できる卵殻水溶性カルシウム液肥です。家庭にある道具だけで失敗なく作れる、卵の殻肥料酢の作り方の黄金比率と抽出ステップをまとめました。
- 材料比率:粉砕した卵の殻 10g(卵約2個分)に対し、穀物酢または純米酢 100ml〜150ml(重量比でおよそ1:10〜15)。
- 抽出工程:深めのガラス瓶に粉砕した殻を入れ、上から静かに食酢を注ぎます。瞬時に炭酸ガスの微細な泡が噴き上がります。密閉すると容器内の圧力が上がって危険なため、フタは緩めに閉めるか、キッチンペーパーを輪ゴムで留めて通気性を確保してください。
- 熟成期間:常温の冷暗所に置き、1日1回瓶を優しく揺すります。約3日〜7日経過して泡の発生が止まったら、反応は完了です。茶こしやコーヒーフィルターで不純物を濾し分ければ、黄金色の高濃度カルシウム原液が完成します。
- 施用方法:使用時は500倍〜1000倍に水で希釈します。尻腐れ病の兆候が見られる場合は、水やりを兼ねた株元への潅水に加え、夕方に霧吹きで葉の裏表に散布する「葉面散布」を行うと、ダイレクトに葉や果実からカルシウムが吸収され、驚異的な回復力を示します。