公的な養成機関が存在しない彫り師の世界において、プロとして独立する道筋は主に3つに分かれます。かつて主流だった「弟子入り(徒弟制度)」、ここ数年で増加した「タトゥースクール」、そして機材を個人で調達する「独学」です。それぞれの費用、期間、習得できるスキルの深さには明確なコントラストが存在します。
現在でもトップクラスのタトゥーアーティストの多くは、スタジオへの弟子入りからキャリアをスタートさせています。特に伝統的な和彫りの修業期間の実態は最低でも3年から5年に及び、最初の半年から1年は針を持たせてもらえず、掃除や道具の滅菌、電話対応、ひたすら絵の模写(下絵描き)を命じられる過酷な下積み環境が珍しくありません。
一方、近年都市部を中心に受講者が増えているタトゥースクールは、短期間で衛生管理の基本やマシンのセッティングを体系的に学べる利点があります。しかし、スクールを出たからといって即座にプロとして指名が入るわけではないという冷酷な現実は知っておく必要があります。スクールはあくまで「基礎的な操作手順を教える場」に過ぎず、人体の凹凸や皮膚の弾力、痛がる顧客へのコントロールなど、現場ならではの対応力は卒業後のスタジオ勤務で培うしかありません。