上用饅頭とは?普通の饅頭との決定的な違いと山芋に秘めた歴史の真相

上用饅頭とは?普通の饅頭との決定的な違いと山芋に秘めた歴史の真相

上用饅頭とは?普通の饅頭との決定的な違いと山芋に秘めた歴史の真相について知っておくべき 注意点を分かりやすく解説いたします。

まず多くの人が抱く疑問が、「上用饅頭」と「薯蕷饅頭」の違いです。結論から言えば、この2つは基本的に同じ和菓子を指しています。正式な学術的・伝統的な呼び名が「薯蕷饅頭」であり、その最高級の格式から生まれた別名が「上用饅頭」です。

「薯蕷饅頭」の正しい読み方は「じょうよまんじゅう」(歴史的仮名遣いや地域によっては『しょよまんじゅう』とも)です。「薯蕷(しょよ・じょうよ)」とは、古くから漢方や本草学でヤマイモ(つくね芋、大和芋、自然薯など)を指す漢字です。芋をすりおろして生地に練り込む製法そのものが、菓子の名前の根源になっています。

では、なぜわざわざ「上用」という当て字が使われるようになったのでしょうか。その背景には、江戸時代の厳格な身分制度と宮廷・武家文化が存在します。当時、純白の砂糖や上質な米粉、そして粘り気の強い山芋をふんだんに使うことは、庶民には許されない贅沢の極みでした。この菓子は朝廷や公家、徳川将軍家といった「お上(かみ)」に献上する特別な「御用菓子」として調進されていたため、敬意を込めて「上用」の文字が充てられるようになったのです。

現在でも京都をはじめとする関西の老舗では「薯蕷」と漢字本来の雅やかな表記を好み、関東や慶弔ギフトを扱う店舗では縁起の良い「上用」と表記する傾向が見られますが、本質はいずれも「山芋の力で蒸し上げた最高格式の饅頭」に他なりません。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。