「親の年収が1,000万円以上あっても応募できるのか」という疑問は、応募検討者の間で常に議論の的になります。結論から言えば、世帯年収の上限は完全に撤廃されており、裕福な家庭の出身者であっても受給資格があります。
多くの公的奨学金が「セーフティネット」としての役割を持ち、所得の低さを第一の受給要件に据えるのに対し、キーエンス財団の根底にあるのは「未来社会の持続的な発展に向けた人材投資」という哲学です。株式会社キーエンスの創業者である滝崎武光氏の私財拠出によって生まれた同財団は、企業のコアバリューである「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」という理念と通底しています。
所得制限を設けない理由は主に2点あります。第1に、日本の中間層家庭において「世帯年収制限にわずかに引っかかり公的支援を受けられないが、複数の子どもを大学に通わせる資金繰りは非常に厳しい」という実質的な教育格差が生じていること。第2に、経済的な境遇に関わらず「主体的に考え、行動し、社会に価値を還元できる優れた若者」を純粋な能力と情熱で選抜・支援したいという設立者の強い思想です。
なお、ネット掲示板等で「キーエンス奨学金をもらうと、将来キーエンスに就職させられる」「採用活動の青田買いではないか」という噂が散見されますが、これは明白な事実無根です。財団は独立した公益法人であり、企業本体の採用活動とは完全に分離されています。受給者がどの企業に就職しようと、大学院に進学しようと、起業しようと、財団が口を挟むことは一切ありません。