双極性障害の原因は母親のせい?医学が証明する遺伝確率と育て方

双極性障害の原因は母親のせい?医学が証明する遺伝確率と育て方

双極性障害の原因は母親のせい?医学が証明する遺伝確率と育て方について知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。

ネット上の相談掲示板やSNSでは、「双極性障害 母親 毒親」という組み合わせの検索が頻繁に行われています。精神科臨床の現場で問題視されているのが、幼少期の不適切な養育環境によって生じる「愛着障害」や「境界性パーソナリティ障害(BPD)」と、生物学的疾患である「双極性障害」の誤認・混同です。

両者は激しい感情の起伏を示す点で外見上似通って見える場面がありますが、病態と治療法は全く異なります。

  • 双極性障害:気分の波は週・月単位のサイクルで自律的に変動することが多く、本人を取り巻く人間関係とは無関係に、脳の生体リズムの狂いから躁状態・うつ状態が出現します。主たる治療手段は気分安定薬を中心とした薬物療法です。
  • 愛着障害・境界性パーソナリティ障害:感情の激変は数時間から1日単位で生じ、その大半は「見捨てられ不安」や対人関係のトラブルといった心理的刺激にダイレクトに連動します。根底には幼少期の養育者との愛着形成不全が存在し、治療の中心は心理療法や環境調整です。

毒親と呼ばれるような過干渉や暴言を繰り返す親の元で育った人が、強い対人不安や感情の爆発を起こしている場合、それは双極性障害ではなく愛着障害や複雑性PTSDであるケースが臨床上少なくありません。逆に、明確な双極性障害であるにもかかわらず「親への怒りやトラウマのせいだ」と思い込み、有効な薬物治療を拒否して悪化させてしまう事態こそが、最も回避すべき落とし穴です。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。