インターネットの旅行ブログやSNSで「魔女の宅急便のモデル」として頻繁に紹介されるものの、実際にはジブリ公式がロケハン地としていないスポットも存在します。その代表格がクロアチアの「ドゥブロヴニク」と、オーストラリア・タスマニア島の「ロス・ベーカリー」です。
「アドリア海の真珠」と称されるクロアチアのドゥブロヴニクは、紺碧の海と城壁に囲まれた赤瓦の屋根が連なる絶景で知られています。そのビジュアルの美しさから「キキが飛んだ街はドゥブロヴニクに違いない」と長年語り継がれてきました。しかし、ジブリの公式資料や当時の制作陣の渡航記録にドゥブロヴニクの名は存在しません。ドゥブロヴニクやアドリア海沿岸の景観は、むしろ後に制作された『紅の豚』のポルコ・ロッソの隠れ家やアジトの着想源として宮崎監督が認めており、ネット上の視覚的な連想が一人歩きしたものと結論づけられます。
また、オーストラリアのタスマニア島にある「ロス・ベーカリー(Ross Bakery)」も有名なスポットです。1860年創業の伝統的なパン屋で、薪を使った旧式のレンガ窯が現役で稼働しています。この店には「キキの部屋」と名付けられた屋根裏部屋があり、世界中からジブリファンが訪れます。しかしこちらも公式がロケハンで訪れた記録はなく、現地を訪れた旅行者コミュニティが「おソノさんのパン屋に酷似している」と盛り上がり、店主がファンの温かい声に応える形で屋根裏部屋を整えたという経緯を持っています。